ベルビューの基本情報
ベルビューはアメリカ合衆国ワシントン州、キング郡にある市です。シアトルからレイクワシントンと呼ばれる湖を挟んで車で15分ほどの距離にあります。2016年度の国勢調査での人口は約14万人。住みたい街、ビジネスを始めるのに最適な街として、全米で何度も上位に挙げられています。
世帯収入の中央値は1,000万円を超えていて、住宅価格の中央値も1億円に迫る富裕層が集まる都市です。おかげで治安も非常に安定しています。
写真の通り高層ビルが立ち並ぶダウンタウンはとても14万人都市には見えませんが、これはアメリカでは市域が細かく区切られている地域が多く、小さな市が点在しているため。シアトル、ベルビューを合わせた都市圏人口は約350万人で、これは名古屋と京都や福岡の間ぐらいの規模。
またシアトルの通勤圏にあるひとつの街というわけではなく、相互に行き来する人が非常に多いのも特徴。これはベルビュー近郊のレドモンドやカークランドと呼ばれる市に、マイクロソフトの本社やグーグルなどのテクノロジー系企業が集まっているためです。
レイクワシントンに懸かる浮き橋
シアトルとベルビューを隔てているレイクワシントンには、エバーグリーンポイントフローティングブリッジという橋が架けられています。
この橋は浮き橋と呼ばれるもので、一般的な橋のように水中に柱を立てて道路を支えているわけではなく、文字通り水の上に浮いているものです。水中に構造物を作らないため、生態系に与える影響が少ないのが特徴。風の強い日には結構揺れたりすることも・・・。
浮き橋としての距離は2,350mで世界最長、幅も35mとこちらも世界最長となっています。
ちなみにこの橋は有料道路で、料金は時間帯や支払い方法によってバラバラ。レンタカーを借り手わたる場合は注意しましょう。レンタカーの場合はナンバープレートから橋を渡ったことが検知され、後日レンタカー会社から請求書が来ることになります。
ただ渡ってみたいというだけであれば、シアトル、ベルビュー間にはバスが頻繁に運行されているので、こちらを利用するのがオススメ(詳細は後述のベルビューへの行き方を参照)。歩道もあるので、徒歩や自転車で渡ることも可能です (無料)。
国際的な人口構成、実は日本との繋がりも・・・
現在のベルビュー市の人口の約半数は中国やインドなどのアジア系移民と、とても国際的な人口構成です。ダウンタウンを歩いていれば、日本人を見かけることも珍しくありません。
現在では都会的な様相を呈する都市ですが、第二次世界大戦前はイチゴ畑が広がるのどかな田園地帯でした。これらの農園は実は日系の移民によって営まれていたものだったのです。しかし戦時中に行われた日系移民の強制収容により、今ではその面影を見ることはできません。
ですが完全に忘れ去られたわけではなく、ベルビューでは毎年ストロベリーフェスティバルと呼ばれるお祭りを開催していて、その歴史を伝える一端を担っています。
ベルビューの観光地
ベルビューはテクノロジー系企業が回りに集まることからカンファレンスなどがよく開かれる街ですが、残念ながらたいした観光地はありません。もちろんシアトルから近く治安も良いので、シアトル観光の拠点とすることも可能です。
そのためアクティビティはショッピング、街歩き及び公園などで自然を楽しむといったことが中心となります。興味がある方にはテクノロジー系企業のオフィスを巡るのもオススメ。シアトル側の観光地を除いた観光ポイントを何個か紹介しましょう。
オールドベルビュー
オールドベルビューはもともとのダウンタウンの中心地だった場所です。ベルビューウェー通りから西のメインストリート沿いの短い区間のことを指し、雰囲気の良い通りでこじゃれた店舗が軒を連ねています。
アメリカの元大統領バラク・オバマのお気に入りだったことで有名なフランチョコレート(Fran’s Chocolates)の店舗もあります。小腹が空いたらベルペイストリー(Belle Pastry)でパンをぱくつくのもオススメ。
銀座というわりとちゃんとした日本食料理屋もあるので、日本食が恋しくなったら訪れてみてはいかがでしょうか。
ベルビューダウンタウンパーク
オールドベルビューのすぐ北にある大きな公園です。人口の水路や滝に囲まれて大きな芝生の空間が広がっていて、天気の良い日はとても気持ちの良い場所です。子供が遊べるプレイエリアもあります。
すぐ近くにはFumie’s Goldという日本人の方が経営するケーキ屋があります。アメリカのバタークリームたっぷりのケーキに飽きたら訪れてみては?
メイデンバウアー ビーチパーク
ダウンタウンの南東にある小さな公園です。小さな森を抜けた先に湖に面したビーチのある公園で、朝の散歩などには最適です。残念ながら現在はリニューアル工事中ですが、2018年末に完了する予定です。
ちなみにメイデンバウアーは人名で、最初にベルビューがある土地にやってきた開拓者のひとりです。
ベルビューアートミュージアム
ダウンタウンの中心にある、クラフトやデザインに商店をあてた現代美術を中心とした美術館。建物自体も特徴的です。
毎年7月には美術館のまわりでアートフェアも開かれています。なお、毎月最初の金曜日は入館料が無料になります。
ビル・ゲイツの家
富豪として有名なマイクロソフトの創業者のひとり、ビル・ゲイツの自宅はベルビューの隣の市、メダイナと呼ばれるところにあります。もちろん自宅に入れるわけではないので周辺をドライブすることしかできませんが・・・。
メダイナには大豪邸が並んでおり、コストコの創業者のひとりであった故ジェフリー・ブラトマンの自宅もあります(コストコの創業地は隣の市であるカークランド)。そのため付近をドライブするだけでも、非日常間があって楽しめるかもしれません。
ちなみにメダイナにはこのような大富豪の自宅が多いことから、メダイナ市につながる道路への市境には全て監視カメラが設置されています。通ったからといって怒られるわけではないのでご安心を。
イチローの家
シアトルマリナーズにゆかりの深いイチローの自宅もベルビューの近く、隣の市のイサクアと呼ばれるところにあります。もちろん中には入れないので前から少し見える建物を眺めるだけとなりますが・・・。
テクノロジー系企業のオフィス
何個か主要なテクノロジー系企業のオフィスについても紹介しましょう。どこも基本的には知り合いがそこで働いていない限り中に入ることはできませんが、マイクロソフトだけは一般の人も入れるビジターセンターがあります。
マイクロソフト
本社はベルビューの隣の市であるレドモンドにあります。ひとつの本社ビルがあるわけではなく、何十個ものビルが点在する広大なキャンパスを形成しています。
ビジターセンターは以下の場所にあり、技術展示を見たりショップでお土産を買ったりすることが可能です。
キャンパスには社員のみが利用可能な多数のレストランがありますが、そのなかの一つは一般の方も利用可能です。アメリカ企業の雰囲気を味わいたい方は訪れてみてはいかがでしょうか。場所は以下のBoardwalkというレストランになります。
任天堂
任天堂のアメリカ本社もレドモンドにあり、マイクロソフトのビルに囲まれた一角に存在しています。残念ながら建物内に入ることはできませんが、前から眺めることは可能です。
グーグル
こちらは本社ではありませんが、割と大きなオフィスが隣の市、カークランドにあります。建物内には入れませんが、敷地内にあるオブジェなどを見ることは可能です。
エクスペディア
エクスペディアグループの本社ビルがダウンタウン内にあります。もちろんオフィスには入れませんが、1階にあるカフェなどを利用することが可能です。
T-Mobile US
ソフトバンクが買収したことで話題となったアメリカの携帯キャリアのひとつ、T-Mobileのアメリカ本社が市内のファクトリアと呼ばれるダウンタウンから少し離れたエリアにあります。こちらも外から眺めることしかできません。ちなみにT-Mobile自体はドイツの会社です。
ベルビューでの買い物
ベルビューは買い物には非常に適したエリアです。中でもダウンタウンの中心にあるベルビューコレクションと呼ばれる一角には、ベルビュースクウェアと呼ばれるショッピングモールをはじめとした店舗が集まっています。
建物内なので雨に濡れる心配もなく、色々な店が一箇所に集まっていることから効率よくまわることができます。
ベルビュースクウェア
百貨店や専門店で構成されたショッピングモールです。アメリカの高級百貨店であるノードストロームや百貨店チェーン最大手のメイシーズが店を構えています。
その他にもティファニーやヒューゴ・ボスといったハイブランドの専門店舗や、各種アパレルブランド、アップルストアなど様々な店舗が約180店集まっています。
マイクロソフトの専門店マイクロストアや電気自動車で話題のテスラモーターズのショールーム、Amazonの実店舗アマゾンブックスなど少し珍しい店舗もあるので、1日中楽しめるでしょう。
ユニクロもあるので、普段着が足りなくなっても安心。関東圏でラーメンチェーンを展開している麺屋 空海が北米で展開するラーメン輝月も入っており、お腹が空いても問題ありません。
リンカーンスクウェア
こちらはベルビュースクウェアのとなりにあるモールで、屋根付きの橋で繋がっているので雨でも安心して行けます。
ホテルや映画館、ボーリング場、アメリカでは珍しいゲームセンターなどの施設や、各種飲食店で構成されています。こちらはどちらかというと飲食店がメインの棟です。
ノードストロームのアウトレット専門店、ノードストロームラックもあるので、掘り出し物が見つかるかも?
ザ・ブレイバーン (THE BRAVERN)
ダウンタウンの東のほうにあるショッピングモールで、高級用品専門百貨店のニーマン・マーカスや、ルイ・ヴィトン、エルメス、プラダ、グッチといったハイブランド専門店、セレクトショップ及び高級レストランなどで構成されるモールです。
店舗構成からみてもわかるとおり、一般的なモールとは一線を画す雰囲気をかもし出しています。
Safeway
リンカーンスクウェアの南には、食料品スーパーのSafewayがあります。手ごろな価格帯のスーパーなので、不足品を買い足したり、お土産を買い揃えたりするのに便利です。
Whole Foods Market
ハワイの旅行冊子などでよく取り上げられ、最近ではAmazonが買収したことで話題となったWhole Foods Marketも、ダウンタウンの東のはずれにあります。
なおWhole Foods Marketの斜め向かいには、ヘルシー志向で全米で大人気のチキンファーストフードチェーン、チックフィレイ (Chick-fil-A)があります。
ちなみにアメリカではチキンを利用した料理はヘルシーだと考えられる傾向があります。実際のメニューもサラダなどが多く、一般的なファーストフード店よりもヘルシー志向なのは間違いありません。
もちろん味も申し分なく、特にチックフィレイ特性のディッピングソースはフライドポテトとの相性が抜群で病みつきになること間違いなし。
宇和島屋
こちらは日本の食材を中心に、各種アジア系のものも取り揃えたスーパーです。ホテルで和食で自炊をしたい場合などには重宝します。お弁当などもありますが、日本の価格と比べると割高なのでご注意を。
ベルビューへの行き方
ベルビューで利用可能な公共交通機関は、現在のところバスかタクシーのみとなります。2023年の開業に向けてシアトルとベルビューを結ぶ鉄道が建設されている最中で、これが開業すると空港から電車で向かうことが可能となります。
現状ベルビューを訪れる際に取るルートは主に以下のふたつでしょう。
- シアトル・タコマ国際空港から直接向かう
- シアトルから向かう
シアトル・タコマ国際空港からベルビューダウンタウンへ
一番一般的な交通手段はタクシーで、値段は約$40から$50といったところです。
Sound Transit社が運行しているバスもあり、こちらは運賃$2.75です。バスの路線番号は560です。終点がベルビューダウンタウンのベルビュートランジットセンターと呼ばれるところなので、乗り過ごす心配もありません。
なおシアトル地域ではバスは安全な乗り物と認識されているので、治安の心配はあまりありません。もちろん深夜に一人で乗ることはできるだけ避けるなどの一般的な対策はきちんと取りましょう。
可能ならレンタカーが一番便利
シアトル、ベルビューエリアのバスシステムは全米でも1番に選ばれたことがあるほど整ったものですが、それでも主要な移動手段は車です。レンタカーを借りることができれば時間に縛られずに効率に回ることができます。
特にベルビュー近辺は駐車場が無料な場所が多いので、車での移動には非常に適しています。シアトル・タコマ国際空港でのレンタカーの借り方は、以下の記事を参考にしてください。
シアトルダウンタウンからベルビューダウンタウンへ
シアトルからダウンタウンへも、バスを利用することになります。同じくSound Transit社が運行するバスで、路線番号は550。日中は1時間に4,5本、ピーク時は5分おきぐらいに運行されているので便利です。
なおシアトルダウンタウン側の中心地の乗り場であるWestlakeは、乗り場が地下にあるので注意してください。電車の駅でもあるので少し混乱しますが、バスと電車が駅を共有しています。
ちなみにシアトル・タコマ国際空港からシアトルダウンタウンまでは、電車で行くことが可能です。